7月29日(火)

 横河原駅まで伊予鉄を使う。相かわらずここの交通費は高い。R11まで出て重信川をわたった場所でヒッチハイク開始だ。もう時間は午後4時。突然カシオのカシオペアが欲しくなったのでその準備に時間がかかったためだ。でもこれで旅先でもメールのやりとりができるはずだ。

 横河原の橋をこっちへ向かって降りてくる車に向かって指を立ててしばし待つ。みんなが見ている。だけど2度目なので緊張してもないし恥ずかしくもない。

 10分もしないうちに1台の1BOXカーが止まった。「ありがとうございます。どちらまで行かれるのですか?」「小松の手前までです。」「高速は使いますか?」「いいえ使いません。」本当は高速道路を使いたかったが、この場所なら仕方ないと思って乗せてもらった。何故なら、松山から高速道路を使って遠くに行く車は川内インターチェンジを使わずに松山インターチェンジを使っているはずだったからだ。そういえば川内〜松山間開通してたんだったっけな。

 その人は30才後半ぐらいの人で小学生ぐらいの子供が乗っていた。「ありがとうございます」「俺も昔ヒッチハイクをしたことがあるんだよ。」「えっすごいですね」「今までに200台ぐらい乗ったかなぁ」「ええーっ」「どこまで行くの?」「北海道です」「いいなー俺も北海道いきたいよ。若いっていいよな」

 最初に乗せてもらった人が旅の強者だった。そういえば前回も最初の人は外国はほとんど行った事があるって人だったよな。別れの時、最初に乗せてもらった記念に住所を教えてもらった。「手紙送りますから」と言って別れた。愛媛にも強者はいっぱいいるもんなんだな。

 しばらく歩いて適当な場所を探す。バックパックが重たい。国道なのに路側帯の狭い道が続き、ついにつかれてそれほど広くないところで、ヒッチハイクを開始した。

 3分ほど経過したとき、女の人で、助手席に2才ぐらいの子供と、猫を乗せた赤い軽自動車が止まった。「ありがとうございます。(俺)」「どちらまでいかれるのですか?(奥さん)」「ずっと国道をまっすぐ行くんですが。」「少ししか行きませんけどいいですか?」「はい。ありがとうございます。」「道が狭かったので一度通り過ぎたんですけど、戻ってきたんですよ」「わざわざすみません。どちらに行かれるのですか?」「うーん・・買い物かな?」どうも暇をつぶしに走っているようだ。

 そのまましばらく走って加茂川の大きな橋を通過しようとしたときなにかのひょうしに子供に「どこへ行きたい」と聞くと子供が大きな声で「うみいくぅ、うみ」と騒ぎ出した。「今日は海へは行かないの」と母親が言っても全然聞かず「うみうみうみうみうみ・・・」運転している母親の髪の毛を引っ張って大変な始末。ついでに足元に猫がいるらしい。おれ、やばいかも・・・・・

 とりあえず運転のじゃまにならないように子供をこっちの後部座席に持ってきてだっこする。でも髪の毛を引っ張るのをやめようとしない。母親が「ぶったたいていいですから、怒ってあげてください」「いえ、でも・・・・」自分の子供でもなく、車に乗せてもらった人の子供をぶつなんて俺にはできん・・・・。ガキを手なずけるのは苦手なんだよー。

 30分ぐらい乗せてもらって西条インターチェンジ付近で降ろしてもらった。俺はほっとした。ガキは嫌いだ。だが何が起こるか分からないのがヒッチハイクの面白さだ。

 このままインターチェンジで高速道路に向かう車を探しても良かったが、このまま香川まで下道(したみち)で走ってうどんを食べてからでもいいやと思って国道で待っていた。

 老夫婦の車がとまった。「新居浜までですけどいいですか?」と聞かれたので、少し考えたのだが、せっかく誘ってくれたんだから、と言うことで乗せてもらった。そして10分ぐらい進んで降りた。まあ、歩くとこれでも大変な時間になるからな。

 降ろされたのが街の中だったので、ヒッチハイクに適当な場所を求めてまた歩くことになった。なかなか見つからない。しかももう日が暮れかかっている。

 そこで、近くに大きな公園があったので、そこで今晩泊まることに決めた。そこへ向けて歩き出す。近いと思っていたが、歩いて1時間ぐらいかかった。その途中に商店街があって、そこで晩飯を確保しようと歩いたが、さびれた商店街に食品店はなかった。今晩の晩飯はカロリーメイトになりそうだ。

 山根公園に到着した。5kmほど上流には「マイントピア別子」がある。この公園はかなり広くて、温水プールの設備や、野球のグラウンド、テニスコートなどがあって、人がかなり多い。テントが人目に付くのが嫌だから、人が少なくなるのをじっと待った。そして、野球グラウンドのそばの木の下でテントを張った。テントの中は蒸し蒸ししてとても暑い。そしてカロリーメイトとヒッチハイクで最初に乗せてもらった人にもらったプリッツを食べる。

 1時間ほどしてもう寝ようと思ってゴロゴロしていたとき、近くに何か落ちる音がした。まあ、松ぼっくりみたいな物が落ちたのかなと思って気にしなかったが、今度はテントに何か当たった。しかも石ぐらいの重さはある音だ。

 「くそ!石投げられてる」テントの入り口を開けて外を見ると、3人ぐらいの人影が走り去る。こうなると気が高くなって寝るどころの話ではなくなる。何とか気を静め、「ほっておけば相手にしないだろう」と思って、しばらくじっとしてると、また飛んでくるじゃねーか!!イライライラ・・・・・

 きっとすぐそばで野球をやってるから、そこに一緒に来たガキだろう。野球が終わればいなくなるさ。と、精神を落ち着かせる。すると静かになった。

 ところが、30分ぐらい後に今度はもっと近くから飛んできたようだった。さすがにテントから出て、見回すが、暗くて分からない。野菜切り用に持ってきた丈夫なナイフを持った手がプルプル震える。「くそ、ホームレス扱いしよって、ここで石投げてる奴は一生、旅はやらんだろうな。」

 10時頃になって、野球の照明が消えると静かになった。近くを歩いている人の足音が気になる。しかも、木の枝のような物で鉄棒をたたいているような音も聞こえる。さらに暑いので、とてもじゃないが眠れる環境じゃない夜を過ごす。ただ、よっぽど暑い上にお腹がすいていたのだろう。今晩飲むコカコーラが一番おいしかった。

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