第6章 アメリカ南部横断編

2月10日

 7時のバスに乗り込む。フェニックスに近づくにつれて緑が少なくなってきた。千以上ありそうな風車の谷を抜けるともう砂漠地帯だ。砂漠の中には低い乾燥した木とサボテンがある。いかにも写真で見た通りのアメリカの砂漠だ。田舎のバス停にはカウボーイハットをした人がいた。すばらしくよく似合う。でも車じゃなく馬に乗ってりゃなぁ。

 フェニックスに到着した。そこから歩いてでもユースに行けるとガイドブックに書いてある。ところが、だ。なんだかターミナルの建物が新しい。空港が目の前にある。ダウンタウンじゃないぞここは。よくあることだが、ターミナルが郊外に移動したらしい。経費削減のためにダウンタウンの土地を売って郊外の安い土地に移動したな。歩いてダウンタウンまで行こうとしたが、ダウンタウンらしき物が地平線にかすんで見えたのでやめた。

 仕方ないのでエルパソ行きのバスに乗り込む。エルパソはメキシコとアメリカの国境の町だ。ハイウェイをひたすら走る。やたらキャンピングカーが多い。中には大型バスを改造した大型キャンピングカーもある。多くは乗用車を牽引している。買い物などの時に乗用車を使うのだろうか。日本では道が狭くてとてもそんなことは出来ないな。

2月11日

 エルパソに到着したのが午前3時だった。ユースまでは歩いていける距離だが、深夜なのでどうしようか迷う。日があけるまで待とうと1時間ぐらい待ったが、結局4時頃歩いて行くことにした。

 あたりはまだ真っ暗だ。メインストリートを通っているので街灯の明かりがあるし、時々車も通る。15分ぐらいで到着した。24時間営業なのでドアをノックして開けてもらってチェックインした。

 部屋は4人部屋で誰か一人が寝ている。俺も寝る。午前4時チェックインだから1泊分の料金で2度寝ることができるラッキー。

 朝食を食パンなどで済ませて外出する。メキシコに足を踏み入れたい。ユース内の地図を見て歩いていく。1時間ぐらい歩いてもなかなか着かない。スーパーがあったのでそこでパンとヨーグルトとホットドッグ用ソーセージを購入。進行方向が逆なのに気づいてユースに帰る。

 昼食にホットドックを作って食べた後、さっきとは逆方向に進む。だんだん人が多くなる。免税店も多い。商店街を抜けると国境ゲートがあった。

 メキシコに渡るときには25セントを払うだけ。領収書もくれない。たったそれだけで国境に架かる橋を渡ることが出来た。このときにパスポートを持っていないと帰れないので注意。 

アメリカ−メキシコに架かる橋。アメリカ側の柵は
強固だがメキシコ側は緩そうだった。
  エルパソの対岸のファレスはエルパソよりも活気があった。だが、道はガタガタだし、信号機も壊れている物が多い。走るバスはとても特徴的で、アメリカは箱形でエンジン後ろ積みだが、エンジン前積みの昔のバスそのもの。アメリカではスクールバスに使われている物だ。行き先が段ボールにマジックで書いてある。塗装が派手で金やメッキがやたら多い。手作りという感じで見るだけでも面白い。

 両替屋で3ドル分メキシコペソに両替する。両替屋によってレートが違うから、看板を見てレートを見てから両替する。

 散髪屋を探す。もう髪がじゃまで仕方ない。メキシコは散髪代が安いとアトランタで会った日本人に教えてもらった。ファレスには散髪のためだけに来たといってもいい。

 料金が入り口に書いてある散髪屋を選んで入る。メキシコ語で迎えてもらった。俺はハーイ。店員は英語でなにをするか聞いてきた。ところが俺の英語が通用しない。すると写真を持ってきてくれてその中から選んだ。

 その人は俺が日本人だと気づくと日本語をしゃべり始めた。女の子の名前を言って友達だといった。あまりうまくはなかったが、なかなかいい奴。でもだまされんぞ、と心に思う。でもほんとのようなので安心。なかなかいい奴だ。

 散髪の腕前の方はひどい。バリカンを当てて正面の鏡を見ながら調節する。これでは小学生の頃母親にやってもらったのと一緒じゃないか。案の定できあがってみると左右のもみあげの高さがずれている。まあいいか、そのうち伸びるさ。どーせ日本にはまだ1ヶ月以上帰らんからな。よしよし、よい経験になった・・・。シャンプーなしで2ドルちょっとで済んだ。安いぃぃぃぃ〜。でも背中がかゆいよー。帰ったらシャワーを浴びて服に付いた髪の毛を一本一本抜いておかねば。

 まだお金が残っているので帰りのお店でビスケットを購入。まだ残っている。帰りのゲートで約25セント分のペソを払う。まだ残っている。記念に持って帰ろう。

 アメリカ側の入り口では入念に身分証明がなされる。パスポートを見せた後、バックの中も確かめられた。でも日本人だったのか入念ではなかった。アメリカへ入るときだけ審査がいると言うことは何泊でもアメリカのビザが切れるまでメキシコにいることが出来ると言うことだ。今度金が少なくなればメキシコに行けばいいな。

2月12日

 朝食にパンとスナックを食べて出発した。次の目的地はニューオリンズだ。ユースの近くの店でタコスが2個で$1でドリンクが25セントだった。食べたかった・・・エルパソではスーパーで買って食べるより店でタコス食べる方が安上がりだとおもう。 

エルパソの公園にあったワニの像
生きているように力強い感じを受けた。
ピンクのもいるのはご愛敬か・・・
 2月13日

 約24時間かかってニューオリンズに到着した。もうバスで寝るのもなれた。ニューオリンズのバスターミナルはアムトラック(大陸横断鉄道)の駅とかねている。

 グレイハウンドバスとアムトラックのターミナルが同じなので乗客を対比してみると驚くほどの違いがある。アムトラックの乗客は見るからにお金持ち。アムトラックに対して新幹線のイメージを持っている人がいるが、捨てないといけない。例えるなら豪華客船だな。遅い上にダイヤがいい加減で値段が高いからだ。

 俺は重たい荷物を駅のコインロッカーに預けて散歩することにした。

 南部の町は汚いと言われていた通りで、道にビールの缶やビニール袋やプラスチック製の安っぽいビーズのネックレスが散らばっている。どうも昨日ぐらいに派手なお祭りがあったような感じだ。メインストリートにはパレード用の椅子がかたずけられずに残っている。お祭りの時に来ればよかったかな。

 結局ニューオリンズには3時間しか滞在せず、マイアミ行きのバスに乗った。ベイセントルイスからの海岸線がとても綺麗今度バイクできたら必ず走るぞ。左側通行なので西から東に進むコースがいい。

2月14日

 途中で乗り合わせたゲーリーと友達になった。軍で働いていて日本の米軍基地にもいたそうだ。日本語が上手で話しても面白い。バスの旅もたまにいいことがある。デジタルカメラに2人の写真を入れて住所交換をした。 

ゲーリーはすごく優しそうな目をしている。
とてもグレイハウンドに乗るような人には見えない
(きつそうな目をしている人ばっかりなのだ)
  そして、フロリダのマイアミに到着。バスを降りたとたんにここが南国だということを思い出した。暑い。華氏80度(摂氏27度)もある。バスの中はクーラーが効きすぎて分からなかった。ジャケットとトレーナーを脱ぐ。それに、ジーンズの下にジャージをはいているが、それは我慢する。やべえ、脱いだ衣服が一気にお荷物になった。

 このままキーウエストまで行きたかったが、キーウエスト行きのバスが1日3便で次が夕方だった。夜着くのは嫌だからそこから市バスに乗ってマイアミビーチのユースに行き泊まることにした。

 チェックインを済ませて荷物を置くと真っ先に衣料品店でTシャツを2枚も購入した。お店のおばちゃんの2枚だったら4ドルまけるよという言葉にやられちまった。さらにユースに帰ると足が長ズボンでは暑いのでハサミで切り落として短くした。半ズボンを買うお金なんて無いからだ。しかし帰りにはニューヨークによらないといけないのにこのままでは・・・・・

 ユースの中には日本人が結構いる。卒業旅行組が来ているようだ。5人ぐらいいたが、バラバラなようだ。話をしたのがドイツから来た日本人タカでもう一人は卒業旅行できている。キーウエスト行きのスケジュールを持っていた。朝一番の便に乗ろう。明日で30日間のアメリパスが切れる。


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