第9章 「世界一のアミューズメント都市」オーランド編

オーランド・ダウンタウンユースホステル
とても美しいエオラ湖の側にある。交通の便もいい
黒鳥がのんびり羽を休めているエオラ湖

3月10日

 ユースをチェックアウトした。ずっしりと重たいバックパックとインラインスケートと食料や食器などが入っている紙袋を持って出る。グレイハウンドターミナルまで歩いて40分もかかる。

 手がしびれてきたのでスケートを履いて歩く。とってもみっともない格好だ。しかもくそ重たいバックを背負ってはバランスが悪いので前にバックを付ける。少しはましになった。

 9時15分のバスに乗り込みオーランドに着いた。オーランドにはワールドディズニーやユニバーサルスタジオ、シーワールドなど、日本人観光客がこぞってきそうなアミューズメントが豊富だ。きっとユースにも日本人が大勢いるに違いない。

 グレイハウンドバスターミナルがまたも移動しているらしい。ターミナルの中にあった無料のユースへの電話で市内バスの乗り方を教えてもらった。25番バスに乗ってダウンタウンに向かえばいいそうだ。

 外に出るとバス停があった。でもどちら向きがダウンタウンか分からない。近くにアメリカ人がいて聞いたらその人もバスに乗って空港に行くそうで手前の方だと言った。信用できないけれども、ひさしとベンチが手前側にだけついているのでそこで待つ。

 40分ぐらい待ったらバスが来た。運転手にダウンタウンまで行きたいというと、「反対側だ」と言われてしまった。やっぱりな。アメリカ人にバスのことを聞く方が馬鹿だ。

 一緒にいたアメリカ人と反対側で待つ・・・・・。30分ギラギラした太陽に照りつけられながら待っていると来た。ダウンタウンの乗り換え所で13番バスを待つ。そこには日本人の女の子2人連れもいた。さすがオーランドだな。デイトナじゃ考えられん。

 ユースについてチェックイン1日$12だけども1週間止まるから1日まけてくれと言ったら値引きしてくれた。

 そのとき午後1時。暇なのでスケートでエオラ湖を一周する。そして疲れて寝る。食料買い出しにスーパーは無いか聞いたら歩いて20分はかかると言われた。

 スケートでそこまで行く。約15分ぐらいかかった。歩くと30分だな。そこでジャガイモとニンジン、バター、ヨーグルト、アップル、タマネギ、ニンニク、ミンチ肉、整髪料を買う。近くのコンビニでは無かったりするからまとめて買った。

 チェスが置いてあったのでテーブルにきちんと並べて対戦相手を捜す。なるべく日本人以外がいい。日本人ならそこらじゅうにいた。でも結局チェスをすることはなかった。

 日本人2人が明日の予定を決めるのに苦労していた。ディズニーにするかケネディ宇宙センターにするかユニバーサルスタジオにするか迷っている。滞在期間の少ない人は苦労するな。俺は期間があってもいけない貧乏人だけど・・・・。

 暇でしょうがない。テレビルームにいたテレビ好きのイギリス人ジェイソンとコリアン(韓国人)の人と話す。そのコリアンはデイトナに行ったそうだ。デジタルカメラの液晶画面でデイトナの写真を見せてあげたら喜んでくれた。やっぱりコリアンも女性の写真には特に喜んでいた。

 夜には遅くまで日本人5人ぐらいと集まってわいわい騒いでいた。俺の作ったハンバーグはかなり美味しかった。

3月11日

 朝からローカルバスで熊本出身の西川君とユニバーサルスタジオのそばにある「アウトレットファクトリ」というビックマーケットに行った。

 とにかくでかいショッピングモール。中にはいろんな店が入っている。商店街がそのまま郊外に引っ越しした感じだ。ショッピングは車で郊外というのがアメリカのスタイルだ。おかげでダウンタウンはビジネスで来ている人しかいない。

 そこで安かったのでアメリカの国旗のイメージのボールペンを買う。アウトレットという割には他のショッピングモールと同じぐらいの値段だった。衣類や靴が中心でテナント料が高いのか目玉商品が見あたらない。だが、一軒だけ目を引いたのが動物の絵が描いてあるTシャツで$20ぐらいとそこそこの値段だが、デザインがとても活動的でよかった。日本ではなかなか見つけることは出来ないかもしれない。一着土産に持って帰りたかった。

 「アウトレットファクトリ」から少し歩いたところに大きなテントでクーラーもついてない店があった。そこにはバドワイザーやワシの型押しの皮ベルト($13)やバックル($15)が格安だった。絶対今度来たときは先のTシャツと一緒に買って帰ろう。

 その後ユニバーサルスタジオを見たくなって、高速道路の柵を越えて近道しようと西川君が提案した。俺はそれは無茶だし警察につかまるぞと反対したが、「そんなことしちゃいけないなー」とか言いながらニヤニヤしながらついていった。西川君も無茶が好きだな。さすがヒッチハイクで熊本から北海道まで行っただけある。横断した道はジャンクションの近くだったので5本ぐらいを越えなくてはいけなかった。相手は時速70マイル。車も多い。ちょっと怖かったな。

 ユニバーサルスタジオの入り口に着いて、誰もいなかったのでどでかい看板によじ登って記念撮影をする。こんなことするアジア人は滅多にいないだろうな。もっと中に入るとまわりは工事中だらけ。なんだか日本の教育テレビで見たアメリカの番組「恐竜物語」の一場面を思い出した。その一場面とはすばらしいアミューズメントがオープンになったと言って客を集めたけれども実は完成していなくて、なにがあるのか分からない列に並んで一日が終わってしまうというもの。なんだか、不吉な予感。

 午後4時、チケット売場まで近づくと帰りの客がどんどんやってくる。みんな一様に疲れた顔をしている。土産物を持つ人もまばらだ。これがディズニーならキャラクターグッズとかみんなもって帰るはずなんだけどなぁー。新婚旅行風の日本人に聞いたら「ええ、面白かったですよ」と言っていた。だけど顔が笑ってないような・・・。こりゃ大したことなさそうだな。

 入るつもりはもともとないので、フェンス越しに中を見る。中の様子はニューヨークのマンハッタンみたいだ。並んでいる人も見えないし、活気がないな。

 そして帰りのバスをそこのターミナルで待つ。なかなか来ないのでそこで地べたに座ってた女の子2人にバスが来るか聞いたらここで降りたから大丈夫だと言った。2人はオランダ人で今朝までユースに泊まってたそうだ。うーんざんねん。それにしても白人女性はたくましい姿をしている。肉食うとこうなるのかな。

 コンビニで晩御飯を買ってまた7時30分に会うことで西川君と別れた。7時半に調理場でパスタをゆでる。ここの調理場はなかなか使い勝手がよい。今日は挽き肉を使ってミートスパゲティを作った。西川君は来ない。冷めるので食べてしまった。そのときに西川君が来た。8時半と勘違いしたらしい。

 フロントの近くにノートパソコンを使っている人がいた。QV−10のデイトナの写真を見せたら喜んでいた。またも言葉の通じない人とのコミュニケーションに大助かりだ。その人はオーストラリア人でミックという。友達にメールを送っているそうだ。チャンスとばかりにパソコンを使わせてくれと頼んで使わせてもらった。だが、QV−10を認識してくれなかった。そしてミックとメールアドレスの交換をした。一緒にブラジルのかわいい女の子2人がいたが、日本人は好みじゃないらしい・・・・。

 そしてシャワーを浴びてエオラ湖のほとりで髪を乾かす。エオラ湖は夜でも若いカップルや老夫婦が歩いていたりして、安全そのものだ。新婚旅行でフロリダに来るときはエオラ湖のそばのホテルが一番だな。

 ユースの中にいた大野君がカメラをぶら下げてやってきた。いくら安全な場所といってももう夜10時だぞ・・・・。ユニバーサルスタジオのことを聞いたら「面白かった」と言ったが、「また来たいか?」と聞くと10年ぐらいしてアトラクションが完成してからだねと言った。すべてのアトラクションを廻るのに1日で十分だそうだ。やっぱりなぁ。情報不足の日本人がやけに目立つわけだ。地元の人は2度と行かないんだろうな。対してワールドディズニーは何度行っても面白いそうだ。

 そんな中老夫婦が、前を通り過ぎて大野君が挨拶した。その人に道を教わったらしい。その後老夫婦がなにかニヤニヤしながら一言しゃべった。大野君は意味も分からずに答えていたが、きっと「あんた達できてるの?」的な質問だったんだろう。こんな場所で男同士2人は異様だ。さっさとユースに帰る。

 ユースで昨日のコリアンに会ったので話をする。彼の方が英語がはるかにうまい。カナダに留学して、カナダ人の友達と旅行中だ。いいねぇ。

3月12日

 朝9時に起きて朝食の後日記を付ける。スケートでスーパーに買い物に行く。そこで炭酸の抜けにくくなるペットボトル用のキャップを買った。これをコーラの栓などと入れ替えて、栓についている加圧ポンプを押して内部の気圧を上げて炭酸を抜けにくくする物だ。缶コーラよりペットボトルの方が安いので俺には役に立ちそう。実際使ってみると以外と効果あり。だけど抜けた炭酸は元には戻らなかった。

 昼をマクドで食べたあと、ユースの前に置いてある椅子に座っているとデイトナバイクウィークのシャツを着たドイツ人が来て俺も行ったと言ってQV−10を見せてあげた。旅にQV−10がこれほど役に立つとは・・・。

 食堂に行くと西川君がいた。今日はケネディ宇宙センターに行ってたそうだ。相当大きな施設を想像していたらしいが以外にそうでもなく、英語ばかりで分からなかったと言った。1回行けば十分だそうだ。

 シャワーを浴びてハンバーグを作る。卒業旅行中の野田君と西川君の3人で集まっていると、吉本系のノリで女の子が、「日本人に会えたー」と言って異常に喜んでテーブルの上で手をばたつかせてやってきた。何なんだこの子は・・・。そんなことで喜べるのもアメリカ1人旅の醍醐味だけどね。それにしてもアメリカでは初めて見るタイプだ。こんなんで一人旅できるのかぁ。

 日本人ばかりあつまってNYのデイビーさんの旦那さんに教えてもらったCASINOというトランプゲームをみんなに教えてあげる。結構うけがいい。ビールも入った頃、カナダ留学中のコリアンとその連れもやってきて一緒にする。

 その人がいなくなった後、ワシントンDCに住んでいるアメリカ人、自称「ヒデユキ」(本名アンディ)が来た。とても日本語がうまい。「チョベリグ」も知っていた。それはもう使わない方がいいと親切に教えてあげた。アメリカで国語(英語のこと)の先生をしているそうで、英語教師で日本にいたことがあるそうだ。

3月13日

 朝8時に起きると昨日の日本人が誰もいない。外は雨が降っている。みんなアミューズメントに遊びに行ってるようだ。ツアーは朝早いからな。朝御飯を食べて寝る。12時に起きてまた寝る。1時半、外は雨が時々降っている。俺は雨が降るとなにもしなくなる性格だ。

 重い腰を上げて徒歩10分ぐらいの図書館へ行ってインターネットで日本の友達向けに書き込みをした後、日本の本を探した。けっこうある。その中から「アメリカ人の考え方」という本と「サザエさんの秘密」を読んだ。ふむふむ、フグタ家と磯野家は最初は別居していたのかぁ。お風呂の焚き付けの木がないので木の塀を壊したのを大家に見つかって追い出されたとは・・・貧しかったんだな。なんだか日本にいる気分。何でこんな本があるんだよ。もう一つの本は難しいので読むのを一瞬でやめた。高杉晋作があったのでそれを読んでいた。とても分厚くて読みきれんな。また読みに来よう。

日本人ばっかりだな。さすがオーランド。
左俺、右端山本さん、その上西川君

3月14日

 9時に起きて朝食にベーコンエッグ。朝から雨だ。山本さん(こないだの吉本系の女の子)と図書館に行く。インターネットを教えてあげて、高杉晋作の続きを読む。

 その後チャーチストリートに行った。ダウンタウンにあるおみやげ屋の集中しているところだ。綺麗な石が安かった以外は大した物はなにもなかった。

 3時頃にバーガーキングで食べる。山本さんはリフィール(つぎたし)出来るのを初めて見てうれしそうに各種類を飲んでいた。ガキだなぁ。俺もやってたけどね。

 ユースに帰って別れてキッチンに行くと新顔の日本人と山本さんが話している。野田君といって卒業旅行で大阪岸和田からきたベタベタの大阪人だ。山本さんに対して鋭いつっこみをするのが面白い。まさに「人を殺して笑いをとれ」系だ。

 3人でCASINOやババ抜きや7並べ、神経すいじゃく、大富豪などいろんなゲームをする。野田君は将来自営で総菜屋をやりたいそうだ。山本さんは最初は先輩の女の子2人で旅行するつもりだったが、相手の都合が突然悪くなって1人になったそうだ。彼氏はヨーロッパの方に行ってるとか・・・。それでも「私の彼氏は絶対私のこと好きやとおもっとるわぁ」と言い張っている。キャラクターとしてはとっても優秀だ。とても同志社大に行ってるとは思えない。でも方向音痴でアメリカ1人旅とは、この子ええ根性しとるわぁ。

3月15日

 昼からスーパーに行って挽き肉と子供用のおもちゃのお金を買う。ポーカーにでも使えそうだな。昼にリンゴを食べて図書館で高杉晋作を読む。

 帰ったら横浜から来た日本人がいた。日本語で会話しているのに相づちするのにアメリカ人が使う「Uh」を使う。気色悪い。野田君が帰ってきた。ユニバーサルスタジオはそんなにもすごくなかったそうだ。でも映画制作の裏側など見れて感心はしたそうだ。CASINOをして1時半に寝る。

3月16日

 朝起きてテレビルームでテレビを見るとエンジンの組立をやっていた。HOTRODという雑誌が作った番組だ。来週の予告で「プロジェクト、ニトロ」と出ていた。さすがアメリカ、専門的で少数の人のための番組は多い。とっても来週の番組を見たかったけど、そのときには居ないなぁ。

さらにチャンネルを移すと、なにやら古い車のアニメ番組をやっている。「こ、この感じはどこかで見たことがある・・・そうだ。マッハGOGOGO!だ。」実は実際に放送されているマッハGOGOGO!は初めて見るのである。「昔懐かしいアニメ特集」でしか「マッハGOGOGO!」の記憶がない。しゃべっているのは英語でなんだか分からないが、車が左側通行しているので安心して見ることができた(?)

 朝食を食べるとき野田君と新顔の山口君がいて話していた。俺も加わって3人になった。山口君はバイクでアメリカを横断中だそうでCB750Fを知り合いの紹介で買ったそうだ。なぜかスピードメーターには「速度警告灯」と日本語で書いてある。どうやら日本から持ち込まれた物らしい。数々の大陸横断ライダーを乗せてきたのかな。山口君は教会の裏でテントを張って寝たり、乞食と一緒に乞食したりとすごい経験している。

 それにしてもアメリカに単身でやってくる奴は個性的で面白い奴ばっかりだ。日本じゃなかなか会えないタイプによく会える。ずーっと3人はしゃべり続けて午後6時になった。こんなにもしゃべり続けるのは初めてかもしれない。しらふなのに不思議である。しかし、しゃべる時間が長すぎるのは内容のない証拠かもしれない・・・・。野田君がチェックアウトして別れた。

 夜に女の子がチェックインした。かなり体格が欧米人みたいにがっちりしていてWILDに見える。日本語を話しているときは普通の日本人なのだが、電話で彼女が英語を話すのを聞いたが、人間変わったみたいだ。日本人以外とキャンプで1週間廻ってたそうだ。なかなかの強者。俺の好みだなあ。

それにしても、英語ってなんていうか攻撃的に聞こえる言葉だよな。日本語っておとなしい言葉だよな。しかし、もしかすると日本はアメリカ化していって敬語が無くなるかも知れない。俺はその方が嬉しいが。


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